相続登記をした直後に不動産業者から「売却の問い合わせ」が来るのはなぜ?

「相続登記を終えたばかりなのに、突然、不動産屋さんから『売却しませんか?』という連絡が来た」といったご相談は多く寄せられます。これは相続登記を申請することで「登記簿」が書き換えられ、常時登記簿をチェックしている不動産屋さんの目に留まり営業の連絡が入るためです。登記を担当した司法書士や法務局(登記官)から情報が漏れている訳ではありません。

相続登記をした直後に不動産業者から連絡が入る理由

なぜ相続登記後に問い合わせが来るのか?


理由① 相続登記の内容は「誰でも確認できる」から

不動産の登記簿(登記事項証明書)は、
一定の手数料を支払えば、誰でも取得できる公的情報です。

相続登記をすると、

  • 所有者が変更される
  • 取得原因が「相続」と明記される
  • 相続人が複数いれば共有名義になる

といった情報が、登記簿上に明確に記載されます。

不動産屋さんは、

  • 最近「相続」を原因として所有者が変わった不動産
  • 共有名義になっている不動産
  • 高齢者名義から変更された不動産

などを 定期的に登記簿(正確には不動産登記受付帳)でチェック しています。

その結果、登記簿には所有者の住所氏名が公示されますので、
「売却ニーズが発生しやすい不動産」と判断され、住所地宛にチラシ等が届くといった構図です。

これらの行為は違法でも何でもなく、登記は公示されるものですので、不動産屋さんの正当な営業手段の一つになります。
(※但し、2025年以降に施行される不動産登記受付帳等の改定により、プライバシー保護に重点が置かれ、不動産屋さんにとっては調査することが極めて難しくなります)


理由② 「共有名義」は特に営業をかけられやすい

相続登記後すぐに連絡が来るケースの多くは、
不動産が共有名義になっている場合です。

不動産屋さんから見ると、

  • 単独名義ではないため住んでいない(売却の)可能性がある
  • 共有者間で意見が割れやすい
  • 将来、共有物分割に発展する可能性がある
  • 持分だけを安く買い取れる可能性がある

といった理由から、
相続直後の共有不動産は売却の可能性ありと判断され、連絡が入りやすいです。

また、相続によって取得した不動産の登記簿には、登記名義人の「住所・氏名」が記載されます。そのため、登記名義人の住所が不動産の所在地と異なる場合には、空き家であると推測されやすく、売却に関する問い合わせが増えることもあります。


まとめ

当事務所でも相続登記は毎月多数申請しておりますが、時折お客様から

「相続登記をした直後に不動産会社から営業の連絡が来た」

とのご相談をいただくことがあります。

その際には、前述のとおり、司法書士や法務局(登記官)から情報が提供されているわけではなく、不動産会社が登記簿を閲覧するなど、登記の公示制度に基づいた適法な方法で営業活動を行っていることをご説明しております。

売却の予定がないにもかかわらず突然連絡が入ると驚かれる方も多いのですが、上記のような仕組みをご説明すると、ご理解いただけることがほとんどです。

不動産登記制度では、日本全国の誰でも登記簿を取得することができるため、不動産の所在地や所有者の氏名のほか、抵当権の有無や債権額などの権利関係を確認することができます。

そのため、相続登記を行うと、「相続が発生したこと」や「どこの誰に名義が変更されたのか」といった情報についても、第三者が把握できる状態となります。

もっとも、相続後に不動産の売却を予定されている場合には、プライバシーの観点から、相続人全員の共有名義にするのではなく、代表となる相続人お一人に相続登記を行ったうえで売却し、その後に売却代金を相続人間で分配する「換価分割」という方法を採ることも可能です。

個別の事情によって適切な方法は異なりますので、ご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。