会社を経営していて知らぬ間に「みなし解散の登記」を入れられてしまった場合はどうしたらいい?

国から「みなし解散の登記(強制的な解散登記)」を入れられてしまった場合は、「3年以内」であれば「会社継続の登記」を申請することで、「会社を継続」させることができます。詳しくは下記をご覧下さい。


みなし解散からの会社継続手続について

みなし解散とは?

みなし解散とは・・・
株式会社の場合、最後の法人登記から「12年間登記手続を行わない場合」に、法務局の登記官の職権により「強制的に解散手続き」を取られてしまうことを言います。

株式会社の役員の任期は最長でも「10年」になりますので、10年に1度は必ず「役員の更新(重任)の登記」を申請する必要がありますが、12年間で何も登記簿の変更(登記申請)がない場合は、国から休眠会社(動いていない会社)としてみなされることになります。

尚、12年経過後に即みなし解散として取り扱われる訳ではなく、下記の通り「一定の猶予期間」があります。

みなし解散の流れ

①最後の登記から「12年経過後」に「官報公告」及び「本店所在地宛てに通知」が行われます。
②公告の日から「2ヶ月以内」に「役員再任の登記等の申請」又は「まだ事業を廃止していない旨の届出」をすることで、みなし解散登記を入れられることなく事業を継続できます
③上記の対応をとらず「2ヶ月経過」した時点で、会社は動いていないものとして「みなし解散の旨」が登記されます。

尚、登記所からの通知が何らかの理由で届かなかった場合でも、みなし解散の方向で進められてしまいます。また、2ヶ月以内に役員再任の登記等を申請した場合でも、役員の選任又は登記の「懈怠」に変わりはないため、過料(罰金)の請求が届く場合があります。

実際にみなし解散登記が入ってしまった場合には、みなし解散日から「3年以内」に「会社継続の決議」を行わない限りは、二度と元の会社に戻すことができなくなります。
仮に3年を過ぎてしまって会社を復活させたい場合には、清算会社として現会社を閉めて(結了して)、新しい会社を設立する他方法がありません。

※みなし解散の規定は、株式会社の場合は「12年」、一般社団(財団)法人の場合は(任期が2年のため)「5年」になります。合同会社等の持分会社(特例)有限会社には役員の任期の規定がないため、みなし解散の対象にはなりません

なぜ強制的に「みなし解散の登記」を入れられてしまうのか

なぜ存続している会社を勝手に解散させるのか?」と疑問を持たれると思いますが、 

休眠会社を放置する場合の問題点として、
①実体を失った休眠会社の登記簿がいつまでも残ってしまうため「登記の信頼を失いかねない
②実体を失った休眠会社が売買されるなど「犯罪の手段とされかねない
以上のような社会的問題があることから、平成26年度以降、稼働の有無を問わず、毎年画一的に休眠会社の整理作業が実施されています。

当事務所に初めてご依頼いただく法人のお客さまで、会社は毎年欠かさずに確定申告をしていて税金もしっかり払っているのにもかかわらず、通知を見落とし、「国からみなし解散の登記を入れられてしまった」といったお声は幾度と寄せられておりまして、日本全国では「3万社弱」が毎年みなし解散の対象になっています。

特に役員の任期を10年に定めていて、昔から同じ場所で営業されていたり、役員が当初から変わらない際は、登記の存在を忘れてしまいがちですので注意が必要です(※当事務所に何かしらの会社登記をご依頼いただいた際は、受託と同時に最新の会社登記簿を取得させていただきますが、第一に役員の任期切れがないか、任期が近くないかをチェックしてお伝えするようにしております)

会社継続手続きの流れ(みなし解散からの復活)

実際に「みなし解散登記」が入ってしまった場合には、上述の通り「会社継続の手続き」を行う必要があります。会社継続とは、解散した会社が解散前の状態に戻り、営業活動を再開することです。

株主総会で「会社継続の決議(特別決議)」を行い、決議から2週間以内に「会社継続の登記」を管轄法務局に申請する必要があります。
当事務所にご依頼いただける場合は、「株主総会議事録の作成」から「会社実印の再登録」含め、みなし解散前の状態に戻す手続をお手伝いさせていただきます。

会社継続に係る費用

ご自身でお手続きされる場合
最低でも登録免許税として「4万9千円」がかかります(※最小形態の会社の場合)

当事務所にご依頼いただく場合
最小形態の会社の場合は、「報酬6万円(+消費税)」にてご対応させていただいておりますので、
送料等の実費込みので「総額12万円以内」でご対応させて頂きます。

まとめ

要点

・最後の登記から12年経過すると国から「みなし解散登記」を入れられてしまうが、みなし解散の通知を受けた後2ヶ月以内に「まだ事業を廃止していない旨の届出」又は「登記申請」を行うことで、みなし解散登記を回避できる。
・みなし解散登記が入ってから3年経過すると会社継続の手続ができなくなる(※前に継続決議があれば登記は可能)
・役員の選任又は登記懈怠(更新未了)による過料は、みなし解散の有無関係なく、国から請求される可能性がある。

役員の任期を更新する登記は、多くの会社が任期を(最長)10年に設定しているため、会社の本店や目的、役員(住所含め)を変更しない限り、12年間何も登記をしないこと(会社登記簿の変更がないこと)はザラにあります。また、会社は従業員を何十人も抱えて大規模な事業をしているのに登記簿だけ置いてけぼりで、みなし解散の通知も見落としてしまい、みなし解散の登記が入ってしまうケースも実務上見かけることがあります。

みなし解散の登記が入ってしまうと、選任・登記懈怠として国から過料の請求が届くことがあり、上記の通り、会社継続の費用もかかってしまいます。また、対外的にも登記簿の変更を怠っている会社として「みなし解散された事実」は残ってしまいますので、登記事項の変更が生じた場合(※特に役員の重任の登記)は忘れずに行うようにしましょう。万一、みなし解散の登記が入ってしまった場合は、速やかに会社継続の手続を行うようにしましょう。

ご不明点等がございましたら【全国対応可!神奈川県厚木市の司法書士曽根康裕事務所】までお問い合わせください。